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開発事例ストーリー

Story01後発泡技術

私たち東穂の『後発泡技術』とは、成形時は固形だが、加熱すると発泡し膨張する技術です。
通常の発泡製品は、「緩衝材」や「防音材」「断熱材」として用いられることが多く、使用形態が限られています。

しかし、私たちの技術力を応用し、熱や時間差を活用すると、今までの使用形態とは違う製品が生まれるかもしれない――― 私には、そんな予感がありました。セッティングした後の環境変化によって発泡し、サイズが変化するのはどうだろう? それができれば、「充填封止剤」「附形剤」「過熱センサー」等々汎用性は広がるはず。

そんなささいなヒラメキから始まった研究開発が、『後発泡技術』製品です。

設計ポイントは至極シンプル。

発泡剤の発泡温度未満で成形し、発泡させたい時に発泡温度以上に温度を上げる。
このシンプルな構造を実現させるため、素材を厳選しレシピを完成させました。

早速、お客様に向けてプレゼンテーションを行いました。

「面白いね−!充填剤などの応用を検討するよ」と、興味を持っていただいた次の瞬間、
「で、発泡時に発生する圧力はどのくらい?」

え!?
とっさのことに、理論値で話をするしかないと判断し説明しました。
しかし、

「それは理論値だよねー。ダメダメ、実測値じゃないと話にはならんなぁ」
そ、そうですよね・・・。

会社に戻り、情報を収集しながら四六時中考えこんでいました。周りの社員は「仕事しろよっ!」と思っていたに違いありません。発砲時の圧力など、インターネット検索をしてそんな実測データがあるはずもありません。では、どうしたら発泡時の圧力を計測できるんだろう?

そんなある日、ぼんやりとゴミの処理をしていると、あるモノが目に入ってきました。

ひらめいた!

ようやく点と点が線で繋がった瞬間でした。 コレと圧力計をつないだら、測定できるぞ!
そう、そのあるものとは―――“注射器”のことでした。

【計測データ】
※測定した圧力値は、FRP(繊維強化プラスチック)などの賦形剤として使用する際に有用なデータとして用いられています。

その後、さまざまなデータを提示し信頼を得たものの、最終的な採用には至ることができませんでした。

しかし、開発者としての信頼は勝ち取れた。

そんな実感を持てた気がしたのです。

結局、製品化し出荷するに至るまで、最初のヒラメキから2年。
現在、『後発泡技術』を活用した製品は、防火用住宅建材や隙間埋め材として、世の中のお役に立っています。

[開発担当:清水雄一]

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